臨床例

甲状腺ホルモンの分析 2017.04.07


甲状腺ホルモンの分析

 

 当院で診察している人の3分の1くらいの確率で甲状腺のホルモン異常がある。ホルモンは人体に対する影響が大きいため、多くの疾患に主体的なかかわりを持っている。

 

 現代病として深刻な状態にある、うつ病、不妊症、抜け毛、糖尿病、腎臓疾患、心臓病、過食症、肥満、など多くの疾患は、ホルモン異常が関係していることが多い。

 

 鍼灸治療において、甲状腺ホルモンの調整をしながら、各部疾患の治療をすると、治療効率が格段に向上することが分かった。

 

 ホルモンという特殊な働きがある為、人体に対する影響も甚大である。ホルモンのコントロールを自由自在に行うことが出来れば、現代病の多くが解決する糸口になる可能性もある。

 


甲状腺機能亢進の症状

 

① 疲れやすくなる  自律神経が活発になり休む暇がないので、疲れてくる。


② イライラする  常に活動している状態のため、神経が高ぶって肝実となり、イライラしてくる。


③ 食欲が抑えられない  食欲を増進する働きがある為、食欲は増進する。


④ 汗をかきやすくなる  新陳代謝が活発になる為、汗かきになる。


⑤ 流産、早産、不妊症、妊娠後期のタンパク尿、高血圧、になりやすい   
甲状腺ホルモンと子宮や卵巣ホルモンとの関係が深く、何らかの影響があるものと思われる。


⑥ 攻撃的になる  何かの拍子に突然、暴力を振るうことがある。自律神経     亢進と胃実、肝実、が重なったとき理性を上回る行動が現れる。 


⑦ 不整脈や動悸が現れる このホルモンは心臓の働きを活発にする作用がある為、不整脈や動悸が現れやすくなる。


⑧ 体重はたくさん食べても痩せる場合と、たくさん食べて肥る場合がある。基礎代謝が活発なので普通は肥らないが、体質によっては肥る場合がある。


⑨ 喉の痛み、違和感、喉の詰まり  甲状腺機能亢進があると、喉にも症状が出てくる。


⑩ 喉が渇く、多尿になる 発汗が多くなるのと、副甲状腺機能亢進で腎臓に影響が出てカリウム過多、骨がもろくなる、結石が出来やすくなる、多尿になるなどの症状が出やすくなる。


⑪ 糖尿病になりやすくなる 機能亢進が食欲を増し、高血糖となり、糖尿病と結びつく。


⑫ めまいが起きやすくなる 交感神経の緊張は肝実を引き起こし、頭部の緊張が眩暈の引き金となる。


⑬ 月経異常、過多月経  甲状腺ホルモンの過剰は、黄体ホルモン、卵巣ホルモンを刺激、排卵周期、月経周期を短くするため、月経異常となる。


⑭ 抜け毛が多くなる  抜け毛や円形脱毛症などになりやすい。頭部の過敏が毛根を締め付け、髪の栄養を阻害する為、抜け毛になりやすい。


⑮ 精神異常 甲状腺ホルモンのバランスが崩れると、他の臓器のホルモンにも影響を与え、ホルモン全体のバランスが統一性を欠くため、正常な精神状態では居られなくなる。その為、うつ病になる人が多い。


⑯ 下痢 腸の活動を活発にさせる為、下痢を起こしやすい。ただし、一部の人は便秘を引き起こすこともある。

 
⑰ 手の震え 交感神経を刺激して緊張状態になると、手が震える人もある。


⑱ 麻痺 男性に多く、朝起きた時、発作的に数分間手足が動かなくなる。起き上がることが出来ないのだが、徐々に動き出すことが出来る。肝実の影響で筋肉がこわばるために起きると考えられる。


⑲ 甲状腺クリーゼ  ホルモンが出過ぎた時に起きる症状で、発熱、頻脈、不穏、せん妄、意識障害、嘔吐、下痢、黄疸などが起きる。

 


甲状腺機能低下の症状

 

① 食欲がなくなる

 
② 動きが鈍重になり、あまり動きたくなくなる。


③ 脳の回転も弱くなり、何事もおっくうになる。


④ 少ししか食べないのに肥ってくる。


⑤ 便秘しやすい、酷い便秘が時々起きる。


⑥ 精神異常、うつ症状が出て人と会うことを嫌がる傾向がある。


⑦ その他、甲状腺機能低下の場合は、機能亢進の全く逆の反応を示している

 

 

甲状腺機能亢進の働き

 

① 脳の働きを活発にする 正常な働きではなく、アレルギー反応のように、むやみに過敏になる働きをする。


② 体温を調節する 機能亢進の場合、体表を過敏に刺激して体温を高める為、汗をかきやすくなる。


③ 胃腸、心臓の働きを活発にする  胃腸が過敏になり、食欲は旺盛、腸内運動も過敏になり下痢をしやすくなる。心臓も過敏になり動悸、脈拍亢進、疲れやすくなる。


④ 新陳代謝を促進する  過敏状態が全身の機能を活発にさせ、新陳代謝を促進するため、よく食べても肥れない人が多い。


副甲状腺機能亢進の働き

 

①  血液中のカルシウム濃度が高くなる 副甲状腺が過敏になると腎臓機能は逆に低下する傾向になる。その為、カルシウムの代謝が悪くなり、血液中のカルシウムが増える。


② 骨がもろくなる カルシウムが血液中に流れだす為、骨がもろくなる。


③ 結石が出来る  血液中のカルシウムは結石を作りやすくなるため、あらゆる所に結石が出来る可能性がある。


④ イライラする  腎機能の低下は、相棒である肝機能にとっては我慢できない状態になる為、肝機能は過敏になりイライラしてくる。


⑤ 喉が渇く 腎機能が低下すると水分の再吸収が悪くなり、多尿になる為、水分を多く欲しがるようになる。

 

 

検査

 

① 鍼灸治療では、提鍼という検査棒があり実【機能亢進】虚【機能低下】を見分けることが出来る。提鍼の先には銅が一粒ついており、これで機能亢進を見分けられる。反対側の先には亜鉛の粒が4粒付いており、これで機能低下を見分けることが出来る。

 

② 喉仏の下を、提鍼の銅の部分で横にさすり、片方の手で脈診をすると、機能亢進の反応がはっきり読み取れる。又、提鍼の亜鉛が付いた部分でさすり、片方の手で脈診をすると機能低下の反応がはっきりと読み取れる。

 

③ 喉仏の横3センチを縦にさすることによって、副甲状腺の反応を読み取ることが出来る。

 

④ バセドー氏病になって喉が腫れている甲状腺から、全く腫れがなく、症状も少ししか出ていない甲状腺機能亢進でも、すべての反応を拾い取ることが出来る。

 

⑤ 甲状腺機能亢進でもいろいろな種類がある。実だけのもの、実と虚が混じったもの、虚だけのもの、甲状腺が実で副甲状腺が虚であるもの、等がありその状態に合わせて治療を行う必要がある。これらは提鍼で甲状腺と副甲状腺の上をさするだけで読み取ることが出来る。

 

⑥ 鍼灸の検査では、簡単にしかも1分くらいの検査で甲状腺の状態が判断できる。その意味では、提鍼と脈診の組み合わせは画期的な検査法と言える。


鍼灸治療

 

① 甲状腺機能亢進の鍼灸治療では特別な治療点が用意されている。甲状腺の場合は下腿陽4-1Kが治療点となる。副甲状腺の場合は下腿陽3-2Lが治療点となる。

 

② 甲状腺機能低下の場合も治療点は下腿陽4-1Kとなる。副甲状腺機能低下は少し違って、下腿陽の3-1Lとなる。

 

③ 実の場合(甲状腺機能亢進)はその治療点に接触鍼をして実の反応を取り除く、実と虚の反応がある場合(甲状腺機能亢進)は接触鍼をして実の反応を取り除いた後、知熱灸で補っておく。虚の反応(甲状腺機能低下)の場合は鍼をしないで、知熱灸で補う。

 

④ 実の場合は食欲旺盛であるが、虚の場合は食欲がないか又は、なんとか食べられると患者さんが言うので、そこを目安に虚、実、の参考にするのも良い。

 

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