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変わり種のうつ病 2015.03.30

変わり種のうつ病

 

 朝早く来院した患者さん。ときどき訪れるなじみのお客さんだ。女性、40代。低い声でぼそぼそと症状を訴える。

 

 

 いつもは活発で、大きな声でよくおしゃべりをする、その彼女が見違えるような状態でやってきた。症状を聞いてみると次のようなことであった。

 

 

 朝起きたときは元気で、あゝ― これなら今日も元気で活躍できるなあと思うのだが、動いているとダンダン気力が衰えてきて、夕方になると気分がすっかり落ち込んでしまう。

 

 

 人と会いたくない、何処へも行きたくない、人と会うのが怖い、何でもないことがすごく大変に思う。ところが、どうしても合わなくてはならない人に会って話をすると、なんとか話が出来て無事に終了する。

 

 

 自分の体が、自分の意思に反して、勝手にどんどん落ち込んでいくような感覚になる。落ち込んでくると、やけに眠くなる。もう家に帰って早く寝たいと思い、仕事をキャンセルして家に帰る。

 

 

 病院に行って診察してもらうと、うつ病だと言われた。薬をもらってきたが、旦那にその薬は麻薬のようなものだから、薬の虜になってしまう。絶対飲むな、といわれて今は飲んでいない。

 

 

 うつ病の患者さんは眠れないという症状を訴える人が多いのだが、この患者さんは、落ち込んでくるとすごく眠くなるという。眠るとすっきりするのだから、とても楽な、うつ病患者さんだ。

 

 

 来院した時は3月、春は肝臓の季節で、細胞が若返り、新しい細胞に入れ替わる季節なのです。カニが成長するときに、殻を脱ぎ捨て、脱皮するように、肝臓も新しくなります。

 

 

 この時、一時的に肝臓は、非常に弱い状態になることがあります。活発な日常生活に対応できない状態になり、うつ症状を呈することがあります。

 

 

 薬を飲むと、薬の毒素を解毒する作用を肝臓がするため、肝臓に過大な負担が掛ります。薬は症状を安定させるけれど、症状を長引かせ、時によっては、本当のうつ病に発展することもあります。

 

 

 この種のうつ病は、保っておいても自然に治ることが多い。早く治そうと思えば、鍼灸治療をすると、とても早く正常に戻ります。

 

 

 診察してみると、思った通り肝臓の経絡が一番弱っていた。肝臓系統は、腹の3-5Lを治療点とした。その子午にあたる相手側の小腸経が、肝臓よりも虚であった。

 

 

 手の小指から小腸経をウエーブで飛び、治療点は頭の1-1Kが治療点となった。このあたりの記述は専門用語が多すぎて理解不能と思われるがご容赦ねがいたい。

 

 

 いずれにしても、肝臓系統と小腸経を補うことによって、その弱りを補助することが治療の目的となる。

 

 

 本治法と共にこの標治法をすることによって、症状は改善され、この治療で元の活発な奥さんに回復した。

 

 

 治療が早かったのと、薬を飲んでいないこと、症状が軽い部類に入っていた、うつ病であったことが幸いして、早く完治した。

 

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